今回は、令和7年7月1日に創設されたキャリアアップ助成金の「短時間労働者労働時間延長支援コース」についてご紹介します。
この制度は、パートタイムや有期雇用の方々が「年収の壁」を気にせず、安心して働ける環境づくりを後押しするために創設されました。週の所定労働時間を延ばすことで社会保険の適用要件を満たすよう支援し、さらに2年目には賃金引き上げや処遇改善も推奨されます。
主な支給要件(事業主)
1年目(第1期)の要件:
- 週の所定労働時間を5時間以上延長
- 2~5時間未満の延長+基本給の増額(2~3時間未満=15%以上、3~4時間未満=10%以上、4~5時間未満=5%以上)
2年目(第2期)の要件:
- 週の所定労働時間をさらに2時間以上延長
- 基本給を5%以上増額
- 昇給・賞与・退職金制度の新設(有期雇用労働者にも適用)
その他要件:
- 対象従業員を継続して雇用・賃金支給していること(11日未満の月は対象外)
- 処遇(基本給や定額手当)を減額していないこと
- 雇用契約書に週労働時間・社保加入状況を明記していること
- 社会保険および雇用保険に継続して適用していること
※賃上げについては、複数年での取り組みも可能です。
対象従業員の要件
- 有期雇用労働者で、延長前の6か月間継続雇用されている方
- 新たに社会保険の被保険者となる方
- 適用日前6か月間および過去2年以内に社会保険加入歴がない方
- 事業主・役員の3親等以内でない方
- 離職していないこと(自己都合退職や懲戒解雇は対象外)
支給額について
従業員1人あたりの支給額は、企業規模と取組内容により異なります。
まず1年目(第1期)の取組に対しては、小規模企業には50万円、中小企業(小規模企業以外)には40万円、大企業には30万円が支給されます。
さらに、2年目(第2期)の取組に対しては、小規模企業に25万円、中小企業に20万円、大企業に15万円が支給されます。
有期雇用労働者の安定就労と処遇改善を図るこのコースに対象となりそうな方がいればぜひご検討して、お気軽にお問い合わせください。