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【職場におけるAI技術の導入がもたらす変化】これからの労務管理に求められる視点について

今回は、職場におけるAI技術の導入が従業員にどのような影響を及ぼしているのかについて、独立行政法人労働政策研究・研修機構が行った「職場におけるAI技術の活用と従業員への影響」(※)という調査結果をもとにお話していきます。

※この調査では、AI技術の活用が、従業員のタスク、スキル、雇用、賃金、労使関係のあり方などにもたらしている影響を、日本とOECD加盟国との比較で指摘しています。(8か国、計96社の調査結果)

日本と他国で異なるAI技術の影響

この調査結果で注目すべきなのは、企業におけるAI導入の影響として、日本と他国で共通点も多いものの、一部項目に関しては、日本独自の特長が表れた点です。具体例を見ていきましょう。

①スキルへの影響

他国の事例では、AIによる業務の自動化が進むと低スキルの業務が従業員に割り振られ、その結果従業員のスキルが低下する傾向が見られます。ただ、そういった事例は全体の1割ほどにとどまっています。

一方、日本企業の全ての事例ではこのようなスキルの低下は確認されていません。考えられる理由については後述します。

②賃金への影響

AIの導入が「賃金」に与える影響にも、国による違いがあります。

他国では、スキル向上(※)により賃金が上昇したケースもあれば、スキル低下により賃金が減少したケースもありました。

※AI 技術が単純なタスクを自動化した結果、高度なタスクが残り、それを従業員が処理するようになった結果、スキルが向上するケース。

しかし、日本ではAI導入後の全ての事例で賃金の増減が見られませんでした。

①②が起こる背景には、日本特有の「メンバーシップ型雇用」が影響していると考えられます。この雇用形態は、従業員が幅広い業務を担当し、能力や役割に基づく賃金制度を介して賃金の変化が生じるため、AI導入による短期的な影響が他国に比べて小さくなっています。これは、日本企業の強みと言えます。

AIの時代に必要なスキルと労務管理の視点

しかし、AI技術の影響を軽視することはできません。これからの時代、AIに対応したスキルの習得がますます重要になるでしょう。AI技術が職場での業務を変革することで、従業員に求められるスキルやタスクも進化していきます。

例えば、データ分析やAIツールの操作スキルなど、新たな能力が必要とされる場面が増えてくるはずです。同時に、企業側も業務の再編成や評価制度の見直しが求められます。

まとめ

AI技術は、今後さらに進化し、私たちの働き方に影響を与え続けるでしょう。従業員が持つべきスキルの変化や、業務内容の再編成を踏まえた労務管理が求められる時代に突入しています。

AI時代に対応した労務管理のあり方を、皆さまの職場でも考えてみてください。


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