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【労働災害の現状】高齢者の安全対策について

今回は、厚生労働省が公表した令和5年の労働災害発生状況についてご説明いたします。

これらのデータから、私たちが今後どのように安全対策を強化していくべきか考えてみましょう。

死亡者数は過去最少! 休業4日以上の死傷者数は増加中!?

このレポートによると、令和5年1月1日から12月31日までの新型コロナウイルス感染症の罹患によるものを除いた労働災害による死亡者数は755人(前年比19人減)と過去最少となり、休業4日以上の死傷者数は、135,371人(前年比3,016人増)と3年連続で増加しています。
この増加傾向は、職場における安全対策の重要性を改めて認識させられます。

転倒事故が最多、腰痛や転落も多発

休業4日以上の死傷者数を事故の型別に見ると、以下の結果となっています。

◇ 「転倒」が最多で36,058人(前年比763人・2割増)
◇ 腰痛などの「動作の反動・無理な動作」が22,053人(前年比1,174人・6割増)
◇ 「墜落・転落」が20,758人(前年比138人・1割増)

これらのデータから、職場での転倒防止策や無理な動作を避けるための指導がますます重要であることが分かります。
※「休業4日以上」とは、労働災害によって従業員が負傷または疾病にかかり、その結果として少なくとも4日間以上仕事を休まざるを得ない状態を指します。

「第14次労働災害防止計画」と高齢者の労働災害対策

上記で述べた状況を受け、厚生労働省は労働災害を減少させるために重点的に取り組む事項を定めた「第14次労働災害防止計画」(令和5年度~令和9年度)を策定しました。
この計画には、下記の項目が含まれています。

・「転倒による平均休業見込日数を令和9年までに40日以下とする」
・「増加が見込まれる60歳代以上の死傷年千人率(※1)を令和9年までに男女ともその増加に歯止めをかける」

しかし、このアウトカム指標(※2)に関する状況を見ると、

・ 転倒災害の死傷年千人率は0.628(前年比0.009ポイント・1.5割増)
・ 転倒による平均休業見込日数は48.5日(前年比1.0日・2割増)
・ 60歳代以上の死傷年千人率は4.022(前年比0.061ポイント・1.5割増)

といずれも増加の状況がみられます。
※1:死傷年千人率とは、1年間の労働者1.000人当たりに発生した死傷者数の割合を示すものです。
※2:アウトカム指標とは、ある施策や計画の成果や結果を評価するための具体的な数値や指標のことです。簡単に言うと、「目標が達成されたかどうかを測るためのもの」です。

労働災害防止計画においては、「転倒による平均休業見込日数」や「60歳代以上の死傷年千人率」などがアウトカム指標になります。
これらの指標を使って、計画がどれだけ効果的に実施されているかを評価します。

高齢者の労働災害防止は必須

高齢者の労働災害は、今後ますます増加していくことが予想されます。
「令和5年 高年齢従業員の労働災害発生状況」によると、労働災害による休業4日以上の死傷者数に占める60歳以上の割合は29.3%です。
高齢者の事故の型別では、「墜落・転落」や「転倒による骨折等」が目立ちます。

企業としては、今後の高齢化の状況を踏まえて、転倒災害などの高齢者による事故への備えは必須となってくるでしょう。

以下に、厚生労働省が公開した、職場での転倒防止対策の資料を掲載しますのでぜひ参考にしてください。

資料1 リーフレット「事業主の皆様へ 安全・安心な職場づくりに取り組みましょう」
資料2 厚生労働省・日本安全靴工業会・日本プロテクティブスニーカー協会作成リーフレット転倒予防のために適切な靴を選びましょう!」

まとめ

企業は、高齢者が安全に働ける環境を整えることで、労働災害を未然に防ぐことが重要です。
高齢者が安心して働ける職場は、すなわち誰にとってもケガ等のリスクが少ない職場でもあるので、全従業員の労働災害リスクを減らすため、安全な職場環境づくりを進めていきましょう。


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